てれんぱれんな日々

アラフォー女暮らしの記録

【書評】『ミニチュア作家』ジェシー・バートン

ミニチュア作家

ミニチュア作家


毎月立ち読みするVogueでフリーダ・カルロの家を訪ねる記事を読んだ。フリーダの内心に繊細に迫るその記事に魅了され、記事の著者をチェックしたのが、ジェシー・バートン。

記事の紹介でバートンが作家であることが分かり、すぐにamazonで検索して『ミニチュア作家』を即購入。もともと大好きなドールハウスのイラストが表紙の可愛らしい本。しかし、届いてびっくり、481頁の厚さ!しかし、やはり期待を裏切らず、ほぼ徹夜をして読み終えてしまった。深夜に読むミステリーは、ぞくぞくして最高に面白かった!

舞台は17世紀オランダ。アムステルダムの裕福な貴族の家に嫁いだ若い妻ネラが主人公。謎に満ちたその家で、夫からのプレゼントのドールハウスを鍵に、家族の秘密が暴かれていく…。大きなお屋敷での孤独の中で、口が悪く冷たい義姉、好奇心旺盛なメイドらと孤独の中で過ごすうちに、少しずつ成長し自立していくネラ。17世紀のオランダ貿易やアムステルダムの町の様子が垣間見えるのも、とても楽しい。

ところで、この小説のキーワードの1つが砂糖。砂糖を使ったお菓子が出てくるのだが、中でも懐かしかったのが「マジパン」。マジパンとは、砂糖とアーモンドを練り合わせたヨーロッパ名物の洋菓子。昔ドイツ旅行をした時、パン屋やケーキ屋できれいにデコレーションされたマジパンを沢山見かけたのを思い出した。見ているだけで楽しいお菓子なのだ。

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それからもう1つ、この小説の主人公であるネラ、ペトロネラ・オールトマン。実在の人物で『ペトロネラ・オールトマンのドールハウス』という作品がアムステルダム国立美術館に展示されており、それを見た作者がこの小説の着想を得たのだという。

 

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大好きな作家がまた1人増えた。次回作も楽しみ!